【 こんな症例も治ります シリーズ 240 】 犬のアジソン病 も的確な診断と治療でコントロールします。

イラストの赤い臓器の前にクリーム色の臓器があります。 それが、副腎です。 アジソン病は、副腎からのホルモン分泌が低下する病気です。

参照サイト:

https://goo.gl/e5K8SZ

 

 

 

7歳 犬 避妊メス

 

【 嘔吐を繰り返し、元気と食欲がなくなってしまった 】 というワンちゃんが来院されました。

 

 

■ 来院時は元気が無いことがハッキリと分かる状態でした。 嘔吐を繰返すことを踏まえると、急性の膵炎や誤食などを疑いました。

 

■ しかし、身体を触ってみると、お腹や体の痛みは無く体温は低下しており、予想と反した状態でした。

これは、通常の消化器疾患と違う可能性を考慮して、全身の精査を前提に検査を勧める事にしました。

 

■ 血液検査では、アジソン病に特徴的な電解質の乱れがありました。 この乱れが大きくなると、生死に関わる危険な状態になってしまいます。 今回は早期に病院に来院頂いたため、点滴とステロイドの治療により大事に至ることなく済みました。

 

 

■ アジソン病とは、副腎の機能不全が起こる病気です。

 

■ 副腎は様々なホルモンを分泌し、ミネラルバランスやストレスを軽減する作用があります。 この病気はホルモンが不足することで、ミネラルバランスが乱れ、不整脈や脱水になります。 その状態でストレスを受けた際にショック状態に陥り、急死する事があるため注意が必要です。

 

■ 通常の血液検査上でアジソン病を疑い、エコー検査とACTH刺激試験という特殊検査で診断を確定させました。

 

■ とても危険な病気ですが、診断がしっかりでき、足りないステロイドホルモンを飲み続ける事で寿命を全うできる病気でもあります。 この子も治療を始めて数時間で、元気さを取り戻しました。

 

■ 今回のように消化器症状が出ていても、ホルモン性の病気が隠れている事があります。 吐いているから胃腸薬で様子を見ましょう、と安易には考えられないなと感じた症例でした。

 

 

獣医師 冨田浩平

Page Top